2010年8月24日火曜日

展覧会終了しました。




展覧会会期が終了しました。

このブログの今後についてですが、個人的に特に興味深かったイベントがまとめきれないことと、終了直前の数日は私用が重なって更新が遅れ、記事がまだ作成できておりません。
あと、数日間に振り返る形で記事を作成していきます。
通常、ブログでは投稿した日が記事の日付となるためイベントの日付と異なってしまいますが、このブログではイベント日付に合わせ投稿日付を操作していますので、今現在上がっていないイベント記録についてはイベントの日付を基準にアーカイブを検索してください。

*アーカイブ記事の更新履歴*
8/7の記事を更新しました。(8/27)
8/3の記事を更新しました。(8/26)
8/21の記事を更新しました。(8/25)
8/22の記事を更新しました。(8/24)

2010年8月22日日曜日

24的最終日

8月22日、展覧会最終日は来場者も多く、会場のあちこちで様々な出来事が生まれていました。

『関係概念としての知覚的自己研究』会場の奥には、村上泰介氏による(京都市立芸術大学博士課程在籍・メディアアート専攻)視線認識装置のデモブースがしっかりと定着。

二重軸回転装置もこの日は順番待ちの行列ができています。(写真は館内ツアーによる人だかり)

ワークルームに循環してきた館内ツアー参加者たちが見守る中、

一般の来場者も巻き込んでペットボトルロケットの制作が行なわれています。

屋外のアクアカフェでは『光・音・脳』の研究チームとして参加していた前田剛志さん(京都市立芸術大学)が席主となり、茶の席が設けられていました。

アクアカフェの前では『関係概念としての知覚的自己研究』の担当でもある井上明彦氏が、水が入ったゴムチューブを振り回すことで重心軸を狂わせるというでもパフォーマンスを披露。

この展覧会の意図のひとつに、担当者が担当のプロジェクトだけを抱え込むのでなく、別のプロジェクトの情報も共有し、関わり、展開していく可能性
[並列的個人研究・制作に陥ることなく、グループ総体が有機的で多元的な研究プロジェクトとなること。その為のリソースと、場の共有と公開性の保持。(歩行ガイドより)]
や、企画者/観客の一方通行な関係をとりはらうこと
[作品鑑賞を中心とした展覧会ではなく、研究・創造のプロセスに触れることで作者・作品・鑑賞という美術における制度的関係を再配置する可能性の探究。(歩行ガイドより)]
があげられていました。
つまり、今日のような雰囲気のこと?
ドラマの24みたいに、リアルタイムに同時多発的に物語が生成される日。

2010年8月21日土曜日

生態学的フィールドワーク「東山の風景を形づくる緑」

この日は京都大学大学院地球環境学堂准教授の深町加津枝さんがガイドのフィールドワークが行なわれました。

まず、美術館屋上に上がり、東山を見渡します。開放感。

京都市美術館の向こうに見える東山。木が所々赤くなっています。
これは紅葉しているのではなく、枯れてしまっているとのこと。
今、東山の木々はナラ枯れが深刻化し、問題になっているそうです。
ナラ枯れはナラの木の中にナラ菌が繁殖し、通水阻害を起こして木が枯れる現象。
そのナラ菌はカシノナガキクイムシが運んでくるのですが、このキクイムシはもともと日本には生息していなかったのが、海外から輸入してきた木材にくっついてやってきたそうな。
また、ナラ枯れは若い木でなく、空洞化した老木ほど起こしやすいとか。
昔は木を燃料として使用していたけれど、今は別の燃料を使用しだし、老木が増えていることもナラ枯れが広がる原因のひとつだそう。
人間の生活の変化が生態系に影響を与えているのです。

ところで、8月16日の京都新聞にも大文字焼きに関連して東山のナラ枯れの記事が掲載されていました。
参考まで:「ナラ枯れ「紅葉」、猛暑で深刻化 16日送り火の大文字山」(京都新聞)

その後、美術館を出て動物園、琵琶湖疎水記念館を通り、南禅寺へ。
道すがら街路樹の植生も観察して行きます。
(街路樹の植生については別の日のフィールドワークでも触れています。
8/14の記事)

琵琶湖疎水記念館横の船溜まりにも、本来なかったはずの植物が水面を覆い始めています。

南禅寺では水路閣という琵琶湖疎水が流れるレンガ作りの水道橋を見学し、インクラインを散策。

この辺りの木々は低木・中木・高木がバランスよく育っています。

と聞いて、バランスって何なんだろうと考える。
・在来種/外来種
・自然/人間
と、単純化して二項対立でものを考えていくのはおもしろくないですね。
色々な視点が必要。

フィールドワークの最後に、参加者がそれぞれ意見や感想を言い合う時間も設けられました。何に興味を持ってこのフィールドワークに参加したか、どういうことを感じたか、など。
子ども達に伝える為に、遠方からわざわざ来られた教師の方もいらっしゃいました。
話を聞いた子ども達が、またそれぞれ感想を持って考えるきっかけとなりますように。

2010年8月18日水曜日

アクアカフェ、開く。

ついにアクアカフェがオープンしました!

8月18日、午前中はカフェ周りの掃除です。

水で流され自然にできた泥の模様はけっこう綺麗だけれど…。

午後から、カフェの看板を見て「ほんとにカフェなの?」と言いながら完成後始めてのご来客がありました。

カフェでは災害用備蓄飲料水「疎水物語」が特製の器で振る舞われます。




使った食器はシクロクリーンで濾過した琵琶湖疎水の水で洗います。

明日から会期終了までわずか4日間ですが、その間いろんなアイデアを出してカフェの運営が行なわれます。

インタビュー記事の掲載

「京都から世界へ」をコンセプトに、一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団が発行・運営するWebマガジン(月1回更新)AMeeT/アミート(=「Art Meets Technology」)に、生存のエシックスプロジェクトチーム高橋悟氏のインタビュー記事が掲載されました。
取材は展覧会が始まる前に行なわれており、展覧会の企画に至る経緯、担当されている二軸回転ステージの話、大学教育について、そして再び展覧会のことへと話が渡っています。
展覧会を見終わった方もこれからの方も、ぜひ読んでみてください。
生存のエシックスがどういう意図の展覧会なのかを読み解くヒントがあらわれています。

→ http://www.ameet.jp/feature/feature_20100810-3/

あくまで高橋悟氏からの視点です。どういう展覧会かは各自が考えてください。
(…と、高橋さんはいうことでしょう。)

2010年8月15日日曜日

会期終了まであと一週間。残るイベント参加者募集!!

追加イベントも決定し、来週はイベントが盛りだくさんです。
ぜひご参加ください!(申し込み方法は公式WEBのイベントページでご確認ください)

8月20日(金)
14:00-15:30 <ワークショップ>視線認識装置による共感の実験 講師:村上泰介(京都市立芸術大学博士課程在籍・メディアアート専攻)

…難しそうなイベント名ですが、やってみると面白い。
自閉症の人は人と感覚を共有するのが苦手だといわれていますが、そこで自閉症児童と健常者のコミュニケーションの道具として村上さんが開発中の装置の実験。
Eye Writerという全身麻痺の人が目を動かすことでレーザーで絵を描くことができる仕組みを応用しています。

15:30-17:00 館内ツアー ナビゲーター:高橋悟
館内をめぐりながら各プロジェクトの内容や関連性についてのトークをおこないます。

…個々のプロジェクトの共通点や差異を見つけながら、展覧会全体をふりかえります。
ナビゲーターの高橋悟氏はカタログにも"歩行ガイド"という(長くて難しそうな)テキストを投稿していますが、このツアーは実際に会場をめぐりながら話し合うことで場所性・展示としての在り方について意見交換しながら展開できるのではないかと期待しています。

17:00-18:30
カタログ制作ワークショップ

…展覧会最後のカタログ制作ワークショップ。
これまでのワークショップを経て、より充実したものになりますように!
→前回のカタログ制作ワークショップ(8/2)
→前回のカタログ制作ワークショップ(7/25)

8月21日(土)
14:00-15:30
生態学的フィールドワーク「東山の風景を形づくる緑」
ガイド:深町加津枝(京都大学大学院地球環境学堂准教授)
「東山の風景を形づくってきた緑とは?」「今日の東山の緑をめぐる課題と展望は?」など、南禅寺界隈を一緒に歩きながら考えたいと思います。

…これまでの水のゆくえプロジェクト関連で岡崎エリアをフィールドワークの大概面白かった。だから今回も楽しくなるだろうという個人的な見解。

8月22日(日)
15:00-16:30
館内ツアー ナビゲーター:高橋悟(「生存のエシックス」プロジェクトチーム)
…展覧会の締めくくりとなるか。


それと、まだWEBにはあげていませんが、アクアカフェでのイベントも決まりつつあります。
また、あらためて情報を更新します。
(若干の変更の可能性あり)
8月18日(水) 井上明彦ワークショップ「水のゆくえ1」
8月19日(木) 井上明彦ワークショップ「水のゆくえ2」
8月20日(金) 「ものづくりサロン」ゲスト:大五さん(大工)、松尾さん(工務店)、吉井さん(解体業者)
8月22日(日) 「茶会」席主:前田剛志 

2010年8月14日土曜日

アクアカフェ、屋根かかる。


今日も少し作業を手伝わせてもらいました。


美術館内に入らずとも見えるので、以前より通行人が見学することの多かったアクアカフェ。
最終形態に近づき、見物人の数もいっそう多くなっています。


泥水で道具を洗います。
どこか違う国にいるみたい。
7月30日に行なわれた藤森照信の講演会で見たスライドのジェンネの町並みを思い出しました。


写真を撮っている姿がかわいい。


達成感。
明日も屋根の土塗りの続きを行ないます。

「生態学的フィールドワーク」都市の中の野生を探す

「庭園」や「街路樹」は人間によってデザインされた空間である。
時間の経過とともに、導入された植物はやがて成長してゆく。
せっかく植栽したのに枯死してしまう植物もある。
あるいは、周囲から風や鳥によって種子が運ばれて芽生え、定着してしまう植物もでてくる。

「生命」を持った動的な空間であり、その姿は大きく変化してゆく。

(本日のレジュメより)

都会での生活において、自然は完全に人間に管理されているかのように感じる。
アスファルトで埋め尽くされた道、規則正しく植わった並木、四角く刈り込んだ街路樹。
けれどよく見ると、アスファルトの裂け目から小さな植物が芽生え、見知らぬ植物が街路樹の背丈を越している。
表面的には人間が支配しているかのようでも、植物は足下からどんどんと生えてきて、気を抜けばあっという間に都会は森に戻るかもしれない。
それを促進しているのは風や鳥だ。私たちの頭のうえをひょうひょうと流れながら、植物の種を落としていっている。
足下にも頭上にも自然の層が広がっており、人間はその層に挟まれているだけに過ぎないんじゃないかと思えてくる。

今日のフィールドワークは、近畿大学農学部環境管理学科講師・田端敬三さんのガイドのもと、都市の中で人間が植えたのではない植物を探すというもの。

美術館周辺、図書館、公園の、いつも目にする街路樹をあらためてじっくり見る。
なんとなく見過ごしていたそれらに、人為のものと自然のものとが混在していることを知る。

美術館から平安神宮まで、普段なら2〜3分の道を30分以上かけて歩いた。

平安神宮の庭はしっかりと手入れがなされている。
それでも新しい種はどんどんと落とされていく。
雑草だと思われて何気なく抜かれていた芽が、実は松のような立派な木だったり、育てば高価な値が付けられる木だったりする。
また、たとえば落ち葉を拾うようなことは、人間の美的感覚によってなされているが、植物にとっては良くないことだというようなことを聞く。そこはカビやバクテリアの活動の温床となる、生態系の一部だからだ。

平安神宮の庭の奥も見せてもらう。ほとんど手を入れていないエリア。
平安神宮は創建されて110年あまりだけれど、すっかり森のようになっていた。

2010年8月13日金曜日

アクアカフェ、手伝う。

展覧会会期も終盤に近づき、ほっとした私はアクアカフェの作業を手伝わせてもらうことにしました。

水のゆくえー連鎖する水声ーが完成した中ハシ克シゲ氏も作業に加わります。


まず、2日前の台風で少し崩れてしまった土塀の補修。
土と藁をミキサーで混ぜ、ちょうどよい固さの土を作ります。
土と藁だけなのに、混ぜると粘り気が出て、骨組みにしっかりと食いつきます。土はもともと江戸時代につくられた土塀を解体したもの。その年数が土の質に影響しているようです。


壁の補修と平行し、屋根の骨組みづくりが行なわれています。


なんだかかっこいい。


骨組みを組んだ後、ラス網で覆い、いよいよ土塗りをはじめました。

2010年8月11日水曜日

宇宙庭の作り方。

本日は「宇宙庭の作り方」ワークショップが、「宇宙庭」担当の松井紫朗氏(「生存のエシックスプロジェクトチーム」)、京都大学大学院農学研究科・小田龍聖さんのアドバイスのもと、と開催されました。他のワークショップより子どもや主婦の方の参加がみられたのは、"庭"のイメージからでしょうか。

まず、松井氏より"宇宙庭"についての説明。国際宇宙ステーションへ宇宙飛行士が長期滞在することが本格化しつつある中で、人工的で閉鎖的な環境での宇宙飛行士の精神的支えとして"庭"を構想するプロジェクトが始まり、さまざまなプロトタイプを試作し現在に至っていること。(プロジェクトは井上明彦氏、森本幸裕氏と共同研究)
土なしでも植物は生きられるのか?
無重力空間で植物はどのように成長するのか?
搭載重量が制限されている中で、どのような形態で宇宙に庭を持ち込むことができるのか?
バクテリアの発生をどのようにおさえるのか?
試行の段階であがったさまざまな疑問や壁にどのように対応しているかも説明されました。

ポイントは高分子の親水性フィルム。
液体の水は通さないけれど、植物の根がフィルムに活着し一体化するので、そこからフィルムの向こう側の水を吸収することができます。
水をフィルムで包み、その上に種を植え付ける。
そうすることで水を外に漏らさず(=バクテリアが発生したとしても外に漏らさず)植物を育てることができるというわけです。

今回のワークショップでは容器に水を入れ、その上に親水性フィルム、植物を植え付けやすくするための不織布、農業用ビニール(マルチ)を使って自宅で栽培できる方法が伝えられました。作業をするうえでの注意点から、宇宙で暮らすことはどういうことなのかがちょっとずつ伝わってきました。

今回のワークショップで用いた材料は参加者に配られ、自宅でそれぞれ"宇宙庭"栽培を試してもらうことになりました。日照、水、温度、各自異なった環境でどのように育っていくのでしょうか。

2010年8月10日火曜日