2010年8月3日火曜日

8/3水のゆくえ-連鎖する水声、講演会

本日の水のゆくえ-連鎖する水声関連講演会は作業療法士で京都大学大学院医学研究科教授の山根 寛さんによるものでした。これまでは"水"に関する人々を招いての講演でしたが、今回は『水のゆくえ-連鎖する水声』プロジェクトで行なわれている共同制作について考えてみるためのもの。

まず、心と身体を分けて考える心身二元論の考え方、心と身体は関係しあっているという心身相関の考え方、心と身体をひとつのものとする心身一如の考え方を紹介し、"身体とは何か"というところから話が始まりました。
脳で知覚されることは全て身体を介しています。
特に手や指から入る情報は、脳と大きく関連しています。
「指を使うとボケ防止になる」とは世間でもよく言われていることですが、実際に手や指を使うことで脳の大部分が活性化されるそうです。
落ち着かない気分の時は身振りも荒くなるし、落ち着いた気分の時は身振りも穏やかになる。
逆に、小さく緩やかに一定のリズムを刻むような作業をすることで、気持ちを落ち着けることもできる。
作業療法とは、その効果を利用してシンプルな手作業を行なうことで身体感覚や脳感覚を安定させていくものです。
それを同じ場所で行なうことで、複数の人間が経験を共有し、共感を生んでいきます。
それはシンプルで深い意味のない作業である程、年齢・性別・能力・個々の価値観の相違や社会的地位を越え、交流やコミュニケーションにつながっていきます。

『水のゆくえ-連鎖する水声』の共同制作も、まさにそのような意味合いがあります。
参加者たちは写真を繋ぎあわせていくというシンプルな手作業を行ないながら、体験を共有していきます。
このプロジェクトでは、出来上がる成果物よりも、参加者が如何に考え、如何にコミュニケーションし、如何に制作するかに焦点が当てられています。(中ハシ克シゲ氏コメントより)

7月11日より作業が始まり、随分と作業が進んでいますが、最終の完成形がどういうものになるのかはまだ参加者に知らされていません。完成形を伝えてはっきりと目標を示すと、作業の意味合いが強くなり、シンプルな手作業を阻害するのかも知れません。

とはいっても、早く完成形が見たいですね。

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