2010年8月21日土曜日

生態学的フィールドワーク「東山の風景を形づくる緑」

この日は京都大学大学院地球環境学堂准教授の深町加津枝さんがガイドのフィールドワークが行なわれました。

まず、美術館屋上に上がり、東山を見渡します。開放感。

京都市美術館の向こうに見える東山。木が所々赤くなっています。
これは紅葉しているのではなく、枯れてしまっているとのこと。
今、東山の木々はナラ枯れが深刻化し、問題になっているそうです。
ナラ枯れはナラの木の中にナラ菌が繁殖し、通水阻害を起こして木が枯れる現象。
そのナラ菌はカシノナガキクイムシが運んでくるのですが、このキクイムシはもともと日本には生息していなかったのが、海外から輸入してきた木材にくっついてやってきたそうな。
また、ナラ枯れは若い木でなく、空洞化した老木ほど起こしやすいとか。
昔は木を燃料として使用していたけれど、今は別の燃料を使用しだし、老木が増えていることもナラ枯れが広がる原因のひとつだそう。
人間の生活の変化が生態系に影響を与えているのです。

ところで、8月16日の京都新聞にも大文字焼きに関連して東山のナラ枯れの記事が掲載されていました。
参考まで:「ナラ枯れ「紅葉」、猛暑で深刻化 16日送り火の大文字山」(京都新聞)

その後、美術館を出て動物園、琵琶湖疎水記念館を通り、南禅寺へ。
道すがら街路樹の植生も観察して行きます。
(街路樹の植生については別の日のフィールドワークでも触れています。
8/14の記事)

琵琶湖疎水記念館横の船溜まりにも、本来なかったはずの植物が水面を覆い始めています。

南禅寺では水路閣という琵琶湖疎水が流れるレンガ作りの水道橋を見学し、インクラインを散策。

この辺りの木々は低木・中木・高木がバランスよく育っています。

と聞いて、バランスって何なんだろうと考える。
・在来種/外来種
・自然/人間
と、単純化して二項対立でものを考えていくのはおもしろくないですね。
色々な視点が必要。

フィールドワークの最後に、参加者がそれぞれ意見や感想を言い合う時間も設けられました。何に興味を持ってこのフィールドワークに参加したか、どういうことを感じたか、など。
子ども達に伝える為に、遠方からわざわざ来られた教師の方もいらっしゃいました。
話を聞いた子ども達が、またそれぞれ感想を持って考えるきっかけとなりますように。

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