2010年8月5日木曜日

「盲目のクライマー/ライナスの散歩」の為のワークショップ

本日は「盲目のクライマー/ライナスの散歩」の為のワークショップが行なわれました。

まず、担当の中原浩大氏により今回のプロジェクトに至る経緯として、これまでの研究が紹介されました。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)と京都市立芸術大学の共同研究「AAS:宇宙への芸術的アプローチ」として、パラボリックフライトを利用して行なわれた微小重力環境でのいくつかの実験。
そこから発展した微小重力環境での身体の喪失感を補う為のセキュリティ・ブランケットの試作。
また、自閉症を有しながらも優れた研究成果で評価されている動物学者テンプル・グランディンの、彼女の特殊な感覚(不安を沈める為に強い圧迫感を欲するような)の証言を参考にし、彼女の考案したハグ・マシンを複製したこと。
それらの試作・実験をふまえ、地上におけるセキュリティ・ブランケットとして『ライナスの散歩』へ至ったことなどが説明されました。

また、もうひとりの担当である石原友明氏からは、これまで「美術館/セルフイメージ」や「見る側/見られる側」をテーマとして作品を制作してきたこと、「美術館」では『触れてはならない』『大きな声を上げてはならない』『走ってはならない』という禁則のもと、身体が置き去りにされていることへの考察、そこから美術館で再び身体を形づくるような場として『盲目のクライマー』へと発展したことなどが説明されました。


ワークショップは4〜5人ずつのグループに分かれ、まずひとつめのアクティビティとしてひとりが多面体フィールドに登る軌跡を、グループの残りのメンバーが地図に記していくというもの。平面の地図に描かれた線(山,谷にあたる)、ポイント、面と三次元の多面体フィールドを対照していきます。


登り終えた後の体験者は、地図上に記された軌跡を見ながら、身体に残った感覚・記憶をなぞるとう作業を行ないました。

もうひとつのアクティビティは自分の居心地の良い場所を探すというもの。
多面体の上部/下部、山の部分/谷の部分、狭い所/開放的な所、明るい時/暗い時、どういう場所・状況が自分にとって居心地が良いか、そこにいることはどういう感覚かをそれぞれ探していきました。


ところで(ここからは私見)、この多面体フィールドを目の前にして"散歩"ではなく"駆け上がって"みたいとか、より高い所に登ってみたいとか、"心地よさ"ではなく"スリル"や"制覇"を目指すのは私だけだろうか?
作られた意図とはずれるかもしれないが、静かに自分の身体感覚を見つめるよりかは激しくあたっていくほうが自分の身体を取り戻せるような気がする。
それほど普段の自分の身体が薄らいでいるということなのかも知れないけれど。

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