2010年3月28日日曜日

ミーティング。

3月29日、京大にてミーティングです。
参加者はプロジェクトチームから高橋・松井・加須屋・前田、京大から精山先生と十一先生。
前回の回転板の脳波測定実験の結果をもとに、次回の実験に向けて結果のグラフの検証が行われました。

測定結果はこんな感じ。





パッと見ただけでは全然わからないのですが…。
いくつもあるこのようなグラフを見比べて、特異点や傾向を読み取っていきます。
次回の測定ではより情報の精度を上げるために、測定箇所(チャンネル数)を絞っていくことなどが決定しました。
その実験は4月20日に京都芸大で行われる予定です。

2010年3月23日火曜日

メンバーリサーチ / テンプル・グランディン

テンプル・グランディンとは1947年アメリカ生まれの動物学者。自閉症を抱えながらも動物の生理学についての研究が評価され、「世界一有名な自閉症の人」として知られる。
「自閉症」についてまだ知られていなかった時代に、自身が世界を認識する感覚について著述し、自閉症を抱える人、その周囲の人、研究者たちに大きな足がかりを与えた。

彼女の開発したハグマシンンとは、自閉症患者が不安にかられたときに精神を安定させるためのものである。 グランディンは、屠殺される前の牛を落ち着かせるために牛を締め付ける機械を元に、この装置を設計した。

生存のエシックスでは、そのハグマシンを下敷きに京都芸大プロジェクトチームが自己認識に関わる装置を制作、展覧会場でも展示し、来場者の体験も可能になる予定です。
また、7月31日のシンポジウムにグランディンからのビデオレターが到着する予定。


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テンプル・グランディンについて、より詳しく知りたい方は以下の著作をご参考ください。

『我、自閉症に生まれて』(マーガレット・M. スカリアーノとの共著、カニングハム久子訳)/学習研究社/1994年3月

『自閉症の才能開発―自閉症と天才をつなぐ環(カニングハム久子訳)』/学習研究社/1997年7月

『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』(キャサリン・ジョンソンとの共著、中尾ゆかり訳)/日本放送出版協会/2006年5月

メンバーリサーチ / クリティカル・アート・アンサンブル

クリティカル・アート・アンサンブル(Critical Art Ensemble=以下、CAEと表記) は、1987年にフロリダで結成された五人のアーティストによる団体。
メンバーそれぞれがコンピューター・グラフィック、ウェブデザイン、映像、写真、テキストアート、ブックアート、パフォーマンスなどさまざまなメディアの技術を有した専門家だ。
結成当時より、彼らはアート・批判理論・科学技術・政治的アクティビズムに関心を寄せ、展示やパフォーマンスなどの活動・発表の場は街角、美術館、インターネット上と、国境を越えて多岐に渡って展開している。


生存のエシックスへの参加に関しては、7月10日の国際シンポジウムにCAEメンバーのひとりであるスティーブン・カーツ氏が来日予定だ。

そのカーツ氏に関して、彼らCAEにとってだけではなく、社会での芸術の在り方を根本から問うような重大な契機となる出来事が2004年に起こった。
当初より、CAEはバクテリアに関心を寄せ、対象とした活動を始めていた。その折、妻が自宅にて突然死しているのをカーツ氏が発見し、救急隊に連絡する。
駆けつけた救急隊はカーツ氏の家にあった実験器具などを見て、カーツ氏がバイオテロを目論んでいたのではないかと疑い、内密にFBIに通報した。
FBIは「バイオテロリズム」の容疑でカーツ氏を拘束、のちに裁判となった。その後、カーツ氏は無罪となったものの、実験器具や資料の押収など多大な被害を被った。

この事件は、アーティストの表現の自由を押さえつけるアメリカの悪法について、世界中の美術関係者に論争を巻き起こした。


エシックスでは、CAEが関心を寄せるバクテリアから生命科学や医療の問題、それに関わる「知と権力」といった観点からのアプローチを行なう。生命科学や医療に関しては京都大学医学部チーム、「知と権力」という観点からはジミェフスキとつながる部分があるだろう。
どういった滞在・プレゼンテーションがなされるのか、期待したい。

>クリティカル・アート・アンサンブル

>ニュース記事


これは展覧会場にいろいろな実験器具を持ち込んでブースを作り、来場者がもちこんだ食品が遺伝子組み換えされた食料かどうかを調べられるという作品。

メンバーリサーチ / デヴィッド・ダン

デヴィッド・ダンは1953年アメリカ、カリフォルニア州生まれの作曲家、サウンドアーティストである。
アメリカの作曲家ハリー・パーチのアシスタントを務めながら、10年にわたりハリー・パーチ・アンサンブルにパフォーマーとして参加。伝統音楽、実験音楽、展覧会でのインスタレーション、映像作品のサウンドトラック、ラジオ放送、生体音響学研究など、幅広い分野で活動している。現在の取り組みの多くは、美学的/科学的双方の観点からみた聴取計画と環境音観測の開発をテーマにしている。アメリカ・ニューメキシコ州サンタフェ在住。

(三菱地所アルティアム『Mind in Sound生態系を聴取する ー環境にむかうサウンド・アート』参加アーティストプロフィールより引用)

2010年3月20日土曜日

記事掲載のお知らせ

京都大学新聞に2/17の実験についての記事が掲載されました。

 記事:脳科学から芸術作品へ 身体と視覚に与える「ずれ」(2010.03.16)
 http://www.kyoto-up.org/archives/975

2010年3月16日火曜日

琵琶湖疎水、通水の撮影


1月6日より停水していた琵琶湖第一疎水が約二ヶ月ぶりに開門します。
プロジェクトチームより井上・松井、また協力者の穴風さん・西尾さん・前田さんがその様子の撮影に向かいました。

撮影ポイントは4ヵ所。(右図のオレンジの○印のところ)

1. 大津関門

2.第一トンネル東口(入り口)

3.第一トンネル西口(出口)

4.四ノ宮船だまり~諸羽トンネル

5.第三トンネル西口(蹴上船だまり)




停水し、土砂のしゅん渫及び河床,護岸石積みの漏水等の補修工事などが行なわれた水路に、約二ヶ月ぶりに水が流れ込みます。
急激に水を流し水位を上げるのはよくないので、通常は6トン(流速約2m/s)の水が流れるところが、今回は2トンの水を約1.5m/sで流していきます。

大津始点から蹴上船だまりまで、約9026mの水路=約6017sec=約100分かけて水が流れ込みます。
私は蹴上船だまりの撮影ポイントにて、流れ込んでくる水を待っていました。

さて、10時に大津始点で開門、蹴上へとやってきました。
疎水事務所の係の方が既に数人集まっています。
水路上の橋の上にカメラをセットし、待機、水がやってくるのを待ちます。11時の時点。時30分頃、「そろそろ来るよ」という係に教えていただきました。
少しずつ水位が上がるのが、水路の壁を見ているとわかります。
洪水のように水が一気に流れてくるのではなく、変化はゆっくりとしたものでしたが、川や水路の水は常に流れているもの、という先入観のためか、水を待ち受けることに不思議な感覚がありました。今までは「流れている」という状態として見ていたものが、「流れる」物質でもあったことに気づかされるような。
ちょっとおもしろい体験でした。