2010年7月8日木曜日

クリティカル・アート・アンサンブル、パフォーマンス

7月8日、美術館前にて出品作家スティーブ・カーツ氏(クリティカル・アート・アンサンブル)によるパフォーマンス「Concern Citizens of Kyoto」が行なわれました。
このパフォーマンスは、美術館前にてビールと煙草を無料で配布するというもの。
また、ビールと煙草を渡す際、同時に開会式の招待券のコピーも渡されました。


パフォーマンスの前日、3Fワークルームにてレセプション招待券のコピーやチラシを作成。


パフォマンス当日の朝、ビールと煙草の買い出しへ。


昼食時には、[無料ビール FREE BEER , 無料タバコ FREE CIGARETTES]と、配布時間、配布場所を記載したチラシを作成し、アーティストによるパフォーマンスではなく、ビールと煙草が無料ということだけを伝え、三条大橋、河原町、木屋町、市役所前などの人通りの多い街中で配布しました。


市役所前広場でくつろいでいる人、町中に遊びに来ている人、橋の下に住むホームレスの人などにもチラシを渡しました。


夕方、開会式に招待された人が次第に集まる中で、無料配布のチラシを受け取った人や、興味を持った通りすがりの人々が冷えたビールと煙草を求めて集まりはじめました。


内覧会が始まる前には、美術館前で大勢の人がビールや煙草や談笑を楽しんでいました。



このパフォーマンスの目的は美術館と観衆の制度を人々(アーティスト/美術館/観衆)に問い直すことです。
パフォーマンスを行なったCAEのスティーブ・カーツ氏は京都国立近代美術館の建築を最初に見た印象が、病院や監獄のイメージだったと言いました。
そして展覧会で紹介されているものの是非を人々に問う前に、まず招待された人々や関心を持った人々ではなく、もっと一般の人々が来ることが必要だと感じ、その仕掛けとして無料でビールと煙草を配布するこのパフォーマンスを行ないました。

また、集まった人々には「なぜ無料で配られているのか?」を考えることで金銭を媒介にした交換(資本主義)を、普段美術館に来ない人々(美術館に来る人はある程度の知識を持ち、文化的なことに関心を抱いているとして)が来ることで、暗黙のうちに美術館から排除されている人々(美術館にふさわしくないとされている人)がいるのではないかということを、問いかけました。

そしてもうひとつ重要な意図は、集まった人々がその「なぜ?」について話し合いはじめることです。つまり、公共とはいえど暗黙の支配がなされている空間に、オープンな相互関係を築く場を展開することです。

実際、パフォーマンスを行なっている間に集まった人々/美術館スタッフ/アーティストの間でいくつもの対話がなされました。
特にビールや煙草と一緒に配布したコピーのレセプション招待券について、「これで入場することは可能か?」「可能でないならばそれはなぜか?」ということに様々な意見がありました。
このことは、入場料を支払わなければ作品を鑑賞できない=低所得者は美術館が紹介するような芸術には接することができないという美術館の在り方そのものを考えることかもしれません。

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