2010年7月17日土曜日

コレクション・ギャラリーの紹介

エシックス展会場は1階と3階。
4階では京都国立近代美術館所蔵作品による展覧会が行われている。

いくつかの展示テーマの中でも、「京都市立芸術大学で教鞭を執った作家たち」は、三尾公三、徳岡神泉、秋野不矩、小野竹喬といった、かつて日本の美術・デザインを牽引した作家であり、京都市立芸術大学で教鞭を執った作家たちの作品が紹介されている。
エシックス展プロジェクトチームが現在の京都市立芸術大学で教育者の立場にあることをふまえ、エシックス展と対比して興味深く見ることができる。

また、「コレクションにみる<生存のエシックス>」では所蔵作品の中から環境と人の在り方にヒントを与えてくれるような作品として、地球と人間の関わりをテーマとしたマグダレーナ・アバカノヴィッチ、渡邊晴美のタペストリーの作品や、アメリカの工業都市を映したユージン・スミスの写真作品、また陶芸の鯉江良二、発光ダイオードを使った宮島達男とコレクションの幅広さもさることながら、それらの配置・構成もおもしろい。

ほかにも、「野村仁:宇宙へ!」では、「宇宙」というテーマでのエシックス展との共通点だけでなく、<真空からの発生><内部構造:弦1><トポロジーチェンジ>といった作品では、スサーナ・ソアレス:蜂プロジェクトのガラスオブジェとの素材の共通性、制作意図の差異を見つけることもできる。

再び3Fへ戻ると、ワークルームにて岩城見一氏のテキストを発見。思想・アート・美的経験・自然科学の関わりについての一視点—カントの批判的「宇宙論」への<感性論>的アプローチ—と題されたそのテキストには先ほど見た野村仁の作品が紹介されていた。

生命、医療、環境、宇宙における芸術的アプローチ。エシックス展を一見しただけでは個々のプロジェクトのつながりを見ることは難しいかもしれないが、読み解くヒントは会場だけでなく会場外へもちりばめられているみたいだ。

写真上:スサーナ・ソアレス<蜂プロジェクト>  下:岩城見一氏のテキスト。


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