2010年2月19日金曜日

琵琶湖疎水、トンネル内をフィールドワーク

琵琶湖疎水は琵琶湖の水を京都へ引き込むために、明治期に作られた水路。
この疎水を通って引き込まれる水は、上水道・水力発電・灌漑・工業用水・水運と様々な用途に使われ、近代以降の京都の発展に貢献した。
また、無鄰庵や平安神宮神苑など、エシックスの展覧会場となる京都国立近代美術館のある岡崎周辺の庭園などにも利用されている。

この琵琶湖疎水は第1、第2と2本の水路から成り立っているが、第1疎水は毎年1月から3月にかけて停水し、土砂のしゅん渫及び河床,護岸石積みの漏水等の補修工事などが行われる。

その停水された水路トンネルのフィールドワークと撮影を行なった。
プロジェクトチームより井上・高橋・中ハシ・松井、協力者の穴風さん・西尾さん・前田さんが参加。

滋賀県大津にある疎水事務所に集合。


この日はプロジェクトチームに加え、RCAの学生も加わった。








トンネル内から見た竪穴は、地上で見ると案外大きかった。
この日の体験や撮った映像・音などはオープンソースとして展覧会関係者に共有される。

2010年2月17日水曜日

回転板の予備実験

京大医学研究科人間健康科学感覚統合ルームにて、携帯型NIRSを用いての回転板の実験を行なった。
プロジェクトチームより井上・加須屋・高橋・中原・松井、京大人間健康科学チームより精山・十一、ほか多数の協力者が参加。

NIRSとは近赤外光を用いて頭皮上から非侵襲的に脳機能マッピングする、「光機能画像法」の原理を応用した装置のことらしい。(wikipediaより)



NIRSを装着したままで回転板に乗り、座位・立位、開眼・閉眼など状態を変えて計測を行う。
また、ビデオカメラで体験者自身の姿をリアルタイムで映し出し、視覚情報と自己定位の関係も調べる。
身体軸を定着させるのに、脳のどの部分が働いているのか。




回転板の組み立て

現段階で実験に使う回転板はプロトタイプである。
実際の展覧会には大きさは8メートル、動力はモーターになるが、今日の実験ではまだ分解して車に乗せて運べる程度の大きさ、動力も人力に頼らざるを得ない。
そのかわり、基本的な仕組みも知ることが出来る。


この2軸のズレが奇妙な揺らぎを発生させる。

この日は京都芸大彫刻専攻の学生が何人か手伝いに来ていた。

2009年12月21日月曜日

人間健康科学+芸大プロジェクトチーム会合

人間健康科学高井リサーチセンターにて、芸大プロジェクトチームが作成した予備実験装置の紹介が行われる。 今回紹介した装置は以下の三つ。
<ハグマシン>
<二軸回転装置>
<色面変化スクリーン>

まず、ハグマシンについて。
ハグマシンンとは、自身も自閉症でありながら自閉症について著述することで独特の知覚世界・可能性を世界に知らせたアメリカの動物学者テンプル・グランディンが考案した装置で、不安にかられたときに精神を安定させるためのものである。 グランディンは、屠殺される前の牛を落ち着かせるために牛を締め付ける機械を元に、この装置を設計した。 今回は、グランディンによる設計図を元に芸大プロジェクトチーム(中原)が再現したものを持ち込み、参加者が試用する。 装置の中に四つん這いで入り込み、身体の両側面を板で挟み圧をかけていく。 圧迫の強さは自分の落ち着くレベルまで手元のレバーで調節することができる。
身体の向きを変えたり、体勢を変えたりしながらこの機械を検証する。
「確かに落ち着く気がする」
「あまり何とも思わない」
「背中が丸空きなのが不安」
「もっと強く締め付けられたい」
体型・年齢・性別の異なる複数の参加者からさまざまな感想があがる。
京大医学部と連携し、装置の効果について脳波測定など科学的な検証も行ってみようという意見があがる。
この機械はもともと自閉症者に見られる強度の精神不安や神経過敏を押さえるためにつくられたものだ。そういった不安は、自己(自我)意識の形成が不完全であることから生じるという。身体への強い圧迫(重力)が自分の存在を認識させ、安心させるのだ。わたしたちも感情のコントロールが未熟な幼少時に、狭いところに潜り込んだり布団を頭からかぶったりして安心したような経験はないだろうか?成長するにつれ、そういった不安を感じることが少なくなった。 もしかしたら、自己と他者(世界)との境界はとても曖昧なものなのかもしれない。とすれば、それはどういった経過で形成されていくのだろう。

現段階ではこれはグランディンの考案したものの再現にすぎない。これをもとに、プロジェクトでは試作・創作を続けながら人間の自己形成の過程を探っていくという。その成果は、展覧会ではどういった形をとるのだろうか?

色面変化スクリーン

最後に、色面変化スクリーンを見学する。 研究室奥に見える半円筒を寝かした形のドーム内に、ベッドが置かれている。
ドームはスクリーンになっており、LEDライトのコンピュータ制御により滑らかに滑らかに変化する色彩のスペクトル(赤-橙-黄-緑-青-藍-青紫の7色に分解した虹のように連続した色の帯)をベッドに寝転びながら鑑賞する。 鑑賞、といっても眼前はスクリーンだけしか見えないので、スクリーン(対象)と背景の区別はなく、ただ色彩だけが目に映る。



これは色彩が人間の知覚にどう影響するかを探るための装置だ。 以上が今回見学・体験した、ハグマシン・二軸回転装置・色面変化スクリーンの三つの装置である。

回転板実験

次に、二軸回転装置について。


部屋いっぱいの大きな円盤は、名の通り二つの軸を中心に回転するのだが、その二つの軸にとてもわずかなズレを作っているのだという。(詳しい仕組みはよくわからない) そのズレにより、円盤は地面と平行ではなくわずかに傾きながら回転する。 ズレは見た目では分からないほんの微細なものだが、その上で歩くと平衡感覚に少しずつ作用していき、人によっては立っていることすら困難になる。 また、目を閉じる、部屋の電気を消す、指向性スピーカーを用いて一定方向からのみ音を聞かせる、などの状態でも同じことを行う。
人は揺れる船に乗ると船酔いする。しかし、船で何時間も揺られたあとに陸に降りると、今度は陸に酔ってしまう。 人が垂直に立つ、というのはとても当然のようなことであるが、「立つ」という行為にはたくさんの要素が必要なのだ。 どこから音が聞こえてくるか、光は何処から射しているかを感じ、重力を体で受け止め、周囲の建物など垂直に立っているであろうものと自分とが平行であるかを確かめる。 身体感覚だけでなく、視覚・聴覚・記憶などの複数の器官・情報が脳の中で統合されて、やっとまっすぐに立つことができるのだ。
この装置・環境ではそういった自己定位が脳内でどうなされているのかを探っている。

2009年7月27日月曜日

ミロスワフ・バウカ

**シンポジウムPart2参加、ミロスワフ・バウカについてのメモ

ミロスワフ・バウカ Miroslaw Balka

1956年、ポーランド生まれ、ワルシャワ在住。彼は身近な素材(鉄、木、塩、髪の毛、石鹸、等)を用いながら、日常生活の中で行う様々な行為(例えば毎日手や顔、身体を洗う、食事をする、寝る、等)を想起させることを通じて、どの時代、どこの国の人々にとっても共通であるような、ありふれた、しかし極めて重要な問題を提起する。それはつまり「生」と「死」の意味を考え直すことであり、生きていく基盤を問い直すことに他ならない。

**日本国内での展覧会
転換期の作法  ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの現代美術
2005年8月2日(火)〜10月10日(月・祝)
国立国際美術館

世界中の子供達は「カラの皿」を目指して今しも旅の途上にある
02年度ICANOF企画展「食間の光景/食間の廃景展」
2003年2月16日
八戸市美術館

ミロスワフ・バウカ<食間に>
2000年7月27日(木)〜9月3日(日)
国立国際美術館